森・濱田松本法律事務所 RECRUITMENT

INTERVIEW

日本の弁護士が
活躍できる場を
開拓していく

松村 祐土 YUTO MATSUMURA

複雑なM&Aをはじめ、多くのクロスボーダー案件を取り扱っております。世界各地の提携事務所と密接かつ円滑に協働することを通じて、依頼者の皆さまの国際的なニーズにお応えいたします

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企業法務弁護士となり、現在の専門分野を取り扱うようになった経緯を教えてください。

問題を解決することで頼られる存在になりたかった

最初に弁護士の仕事に興味を抱いたのは、問題を解決して目の前の人に喜んでもらう仕事で、成果がわかりやすく、やりがいを直に実感できるのではないかと思ったからです。人から頼られる存在になりたいという思いも強く、法という道具で人の自由を守るという弁護士の仕事に魅力を感じました。特に、起訴前弁護は、身柄が拘束されている被疑者・被告人の切実な思いを実現するもので、まさに私が携わりたい業務そのものでした。

国際的な舞台で活躍する弁護士の存在を知った

一方、世界に出て日本との架け橋になりたいという思いも強く、外交官の仕事に興味を持った時期もありました。そうした中、司法修習生のとき、ふとしたきっかけで森綜合法律事務所(現森・濱田松本法律事務所)を訪問し、渉外法務という国際的な仕事があること、国際的な舞台で活躍する弁護士がいることを初めて知りました。弁護士と外交官の仕事に興味があった私は、その両方の魅力が実現できる仕事に出会えたと感じ、クライアントのために異文化が交錯する場面で役に立てる弁護士になりたいとの思いを強めるようになりました。

幅広い分野の案件に取り組んだ

事務所に入った当初は、海外のクライアントが東京地裁に提起している訴訟や、日本のクライアントがニューヨークで行っている訴訟等、国際的な訴訟紛争案件が多かったです。もっとも、M&Aや証券化、不良債権のバルクセール等、様々な案件に携わりました。企業の一般的な法律相談(ジェネラル・コーポレート)も多く、ライセンス契約や労働問題に関する相談等、幅広い分野の案件に取り組みました。

金融機関の再編案件

留学中は、興味・関心があった米国における金融機関のM&A規制などを研究したほか、NACD(全米取締役協会)に参加してコーポレート・ガバナンスを学んでみるなど、帰国後の仕事を意識して取り組みました。巡りあわせという要素も強いと思いますが、留学から帰ってきた後、多くのM&A案件を手掛けることになりました。特に、私が日本に帰国した時期は、ちょうど金融機関の統合や再編が盛んな時期で、多くの金融機関のM&A案件に関与しました。

主要な取扱分野であるM&A業務の魅力は何ですか。

案件がダイナミックであること

まず、M&A業務の魅力としては、案件がダイナミックであることが挙げられます。それぞれの事案において、その時々の局面で状況の変化があり、それに対応していく面白さがあります。

以前、ある日本企業が初めて海外進出するM&A案件に関与したとき、案件当初、相手側のカウンセルであるイギリスの弁護士とかなり激しい交渉となり、案件をまとめることは困難だと感じていました。しかし、いざ相手側の弁護士に直接会ってみると、それまでの印象と異なり法的な議論がきちんとできる弁護士でした。相手側の弁護士とのFace to Faceの交渉で案件の流れが変わり、最終的には深い信頼関係で結ばれ、お互いの立場を理解して案件を進められるようになったことが印象深い案件でした。

利害関係人の利益に配慮して案件をまとめる面白さ

M&Aをするにあたり、当然株主と経営陣の利害衝突だけでなく、株主の中でも多数派と少数派等の複数の視点があるほか、会社債権者、取引先、従業員等、様々な利害関係人が関与することになります。そして、M&A業務の魅力としては、法令や契約などを用いて、多数の利害関係人の利益を調整する面白さも挙げられると思います。

実を言うと、学生時代は、商法の組織再編が非常に苦手でした。組織再編は、イメージがわかず、しかも、結局は利益衡量によって決するという結論が多く、理屈として筋が通っていないと感じていたからです。しかし、実際にM&Aに携わってみると、その利益衡量こそがM&Aの醍醐味であり、簡単に結論が出ないからこそ面白いことに気付かされました。

M&Aにはドラマが付き物

また、M&Aには、人間味あふれるドラマが付き物です。以前携わった再生系のM&A案件で、経営不振の会社にスポンサーがついて、事業の一部が売却されることになりました。事業の売却が決まった当初、一緒に作業をしていた会社の担当の方は、売却案件に渋々関与されている様子でした。しかし、事業が売却される当日、売却を祝うささやかな会で、当該事業譲渡に伴い移籍することが決まったと涙を流して喜び、初めて感謝の気持ちを伝えてくれました。M&Aは、人間ドラマと邂逅するのもその魅力の一つです。

こういったダイナミックなドラマをともにした当事者、財務アドバイザー、会計士、そして相手方も含む弁護士達とは、案件終結後10年以上を経ても、戦友ともいうべき絆を感じ続けています。

M&Aに関する時代の変化は感じますか。

環境の変化や、M&A実務の進展は明らか

M&Aには、インバウンドM&A(海外から日本への投資)、アウトバウンドM&A(日本から海外への投資)、ドメスティック(日本国内のM&A)といったタイプがあります。当事務所に入所した1990年代後半は、インバウンドM&Aの案件が多く、海外の企業を代理したり、海外の企業が日本企業を買収するときの売り手側で関与する案件が多かったように思います。2000年代は、圧倒的に国内案件が多く、その後、2010年代になってアウトバウンドM&Aの案件が増え、現在では、再度国内案件が増えてきたように感じます。自分が扱っている案件に限らず、M&Aをめぐる環境の変化は明らかにあるように思います。

M&A実務に関していうと、株式譲渡契約書に代表されるドキュメンテーションが以前よりも精緻になってきたことや、M&Aに関する裁判例が蓄積されてきたことは顕著な変化だと思います。

今までで印象に残った案件は何ですか。

個人的にはディープな交渉案件が好き

今まで関与した案件は、金融機関のM&A、TOBや株主総会実務が必要となる上場会社のM&A、MBO(経営陣による買収)、クロスボーダーのM&A等複雑な利害調整が必要となるM&Aが多かったような気がします。M&Aの業務としては、個人的にはディープな交渉案件が大好きです。当然、対面で交渉する機会は多くありますが、書面での交渉にも違った面白さがあります。こちらが設定した土俵に相手がのってきたときや、双方が譲れない条件を新しいアイディアによって解決したとき等、書面での交渉の魅力もまた実感しています。

案件中は日々事件が発生した

特に印象に残った案件は、日本のM&A史上に残る巨大統合案件です。統合する当事者には、当然のことながら、多数の利害関係人がいて、弁護士も数十人規模のチームで取り組みました。案件の交渉中、案件自体が実は違法ではないかと、ある海外メディアが報道したので、法的な根拠の存在はもちろん、国内外の先例を示すほか、学者の先生方のご意見をもらう等して、案件の適法性を説明するため奔走しました。その案件中は毎日のように先例のない難しい課題が発生し、それらを解決するため、弁護士の間のみならず、当事者の方々や他のアドバイザーと顔を突き合わせる日々が続き、今でも忘れられません。

M&A業務を行う上で大事なことは何ですか。

求められている役割を絶えず慎重に検証

弁護士がクライアントから求められている役割は、クライアントとの関係や距離感の違い、更には当該案件の性質等から、各案件によってそれぞれ異なります。弁護士による踏み込んだ関与が求められる案件もありますが、常に弁護士が交渉の中心であったり、ドキュメンテーションをコントロールする立場にあるわけではありません。クライアントから求められている役割を絶えず慎重に検証しながら案件を進めています。

チームプレイは必須

良いアイディアや解決策を一人で思いつくことは難しく、M&Aにとってチームプレイは必須です。この点に関して、MHMの良いところは、議論することを厭わない文化にあると思います。事務所内では、合議を設定して議論することもあれば、内線で他の弁護士に相談したり、部屋に立ち寄ってその場で議論する光景もよく見られます。私自身、他の弁護士と議論していく最中に問題が解決することを数えきれないくらい経験しました。

クロスボーダー業務において弁護士はどのような役割を担っていますか。

時には交渉相手と信頼関係を構築するために現地に足を運ぶ

特定の地域だけでなく、アメリカ、ヨーロッパ、中国、東南アジア、中東、アフリカと全世界でクロスボーダー業務を行っています。アフリカや中東についても、今後いろんな可能性があると思っています。コミュニケーション手段の発展によって海外出張しなくても案件が進むことも多いですが、時には相手方の弁護士と信頼関係を構築するため、あるいは、クライアントの要望を明確に伝えるため、現地まで足を運ぶこともあります。案件や海外事務所との提携関係の構築のために、月に2~3回海外に赴いています。

制度的・文化的ギャップを埋める役割

日本の弁護士は、日本の法制度はもちろん、企業風土・交渉文化等もよく知っているため、日本企業によるクロスボーダーの案件において、相手国との制度的・文化的ギャップを埋める役割を果たすことができます。特に、規制が多い業種の案件や日本における手続やリスク管理が重要な案件では、日本の弁護士が行うべき業務が多いので、役割は大きいといえます。その意味で、今後、日本の弁護士はより国際的な感覚を身に付ける必要があり、世界の情勢の中で日本の弁護士に何ができるのか、より意識していく必要があると感じています。

世界共通の課題についても情報を収集している

数年前から、国際法曹協会(IBA)においてCorporate and M&A Law Committee(M&A委員会)の活動を行っています。同委員会には、ヨーロッパをはじめ、アメリカ、東南アジア、南米、アフリカ等、様々な地域の弁護士が参加しています。年次大会ではパネルディスカッション等を行いますが、そこでの議論は、世界共通の課題であることも少なくなく、大変勉強になるものです。また1年に5-6回、世界各地で顔を合わせ、友情を育んでいます。

学生の質問から多くの気付きがあった

2013年からは東京大学のロースクールでM&Aなどの授業を受け持っていましたが、非常に良い経験になりました。学生からは、弁護士同士では出てこない一見的外れな質問をされることもありましたが、よく考えてみると的外れな質問ではなく、当然の前提であってもよく考えると違った見方もあることに気付かされる等、多くの発見がありました。ロースクールで教えていた3年間は、ほぼ全ての週末を準備に費やしていましたが、次世代を担っていく志の高い学生と交流できたことは、非常に刺激的でした。

刑事弁護では弁護士を目指したきっかけを思い出す

私は、入所してから50件~60件ほど刑事事件を担当しており、今でも当番弁護に登録しています。被疑者・被告人の身柄解放は大事な活動であり、意義は大きいと思っています。人の人生を左右する場面で人に頼られるということは企業法務でも同じですが、刑事弁護において切実な思いの被疑者・被告人から感謝されると、弁護士を目指したきっかけを思い出します。

MHMはどのような事務所ですか。

個の強い力を結集させる場所

MHMの特徴は、昔から個の力を大切にするという文化があり、事務所は個の力を結集させる場所となっています。私自身、先輩・後輩を問わず、多くの弁護士から刺激を受けてきました。そして、MHMは、それぞれの個の力が強いため、多種多様な弁護士から学ぶことができます。それぞれの個人の良い点を参考にし、改善が必要な点を反面教師にするといったように、多数の個人を組み合わせて自分の理想の弁護士像を思い描き、実現していくことが可能です。特定の個人をモデルとしてしまうと、その人を超えることができないように思います。

ベスト・フォー・クライアント

MHMは、昔から「ベスト・フォー・クライアント」という価値観を大事にしており、私自身もこの価値観を大事にし続けています。一見、弁護士として当たり前のようにも思えますが、自分の正義感を単に充たすため、あるいは、自己満足のため、依頼者の意向を無視して業務を行っては本末転倒です。弁護士業務を行うにあたっては、まず「フォー・クライアント」であることを忘れないことが大事だと考えています。また、依頼者のために「ベスト」を尽くしているかも常に意識する必要があると思います。

弁護士になる人に一言お願いします。

日本の弁護士が活躍できる
場を開拓していく
という気持ちが大切

弁護士の活躍できる場は、今後も増えていくと確信しています。特に、クロスボーダー業務においては、日本の弁護士が十分に力を発揮できていない場面が山ほどあり、分野を問わず、日本の弁護士が活躍できる市場ポテンシャルが十分にあります。今後は、国際感覚を身に付け、日本の弁護士が役に立てる機会を開拓していくというチャレンジ精神が大事だと思います。ローカルの時代の再来という見方をする人もいますが、国内はもちろんのこと、海外で起きている事実への関心や好奇心を抱き、異文化を理解する姿勢を失わず、国際的場面での挑戦を恐れないことは、これまで以上に重要になってくると確信しています。