森・濱田松本法律事務所 RECRUITMENT

INTERVIEW

自分の可能性を
広げられる職業

堀 天子 TAKANE HORI

上場企業等を中心に、訴訟等の紛争解決や企業法務に携わっています。また、金融機関、クレジットカード会社や決済サービス事業者等へのアドバイスや金融規制法対応等の業務に専門的に取り組んでいます。

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弁護士となり、現在の専門分野を取り扱うようになった経緯を教えてください。

どうすれば社会が良くなるのかについて考えていた

私は、もともと検察官を目指していました。少し変わっているかもしれませんが、正義感が強い方で、犯罪捜査に興味があり、どうすれば社会が良くなるのかについて考えていました。また、法律の勉強が面白かったこともあり、司法試験に挑戦しようと決意しました。大学時代は、元刑事裁判官の先生のゼミに入り、刑法や刑事訴訟法を中心に勉強していました。

自分の世界を広げられると考え弁護士になった

合格後、検察官ではなく、弁護士になることになったのは、たまたま事務所訪問で訪れた森綜合法律事務所(現・森・濱田松本法律事務所)に強く惹かれたことがきっかけです。企業法務という世界があることを知り、身近な若手の先輩たちがとにかく元気で圧倒されるとともに、楽しそうに仕事のやりがいを語る姿を見て、自分もそのような環境の中で一緒に仕事をしてみたいと思いました。検察官と弁護士の選択は最後まで迷いましたが、弁護士の方が自分の世界を広げられると考え、弁護士になることを選択しました。

当初から幅広い分野の案件に取り組んでいた

事務所に入った当初から、ITシステム開発争訟、労働争訟、会社法関係争訟、金融関連争訟、消費者関連争訟等、様々な種類の訴訟案件を担当しました。また、訴訟だけでなく、企業の一般的な法律相談(ジェネラル・コーポレート)、株主総会、労働法務、消費者関連法、独占禁止法、個人情報保護法、さらには事業再生等、幅広い分野の案件に取り組んでいました。

訴訟案件のノウハウを徹底的に教わった

入所以降、私は、たくさんの企業訴訟の案件を担当し、先輩弁護士から訴訟案件のノウハウを徹底的に教わりました。特に入所直後に携わった案件は、コンビニの店舗内に設置するキャッシュ・ディスペンサーの導入が頓挫したことで起きた訴訟案件で、振り返って考えると、現在主要な取扱分野のひとつとしているFinTech(フィンテック)にもつながっているように思えます。もっとも、当時は、ITや金融関連の業務にも一部携わっていましたが、この分野が専門であるという意識はありませんでした。

訴訟案件では、どのようなときにやりがいを感じますか。

尋問は弁護士によってかなりの差が出る

私は、ITシステム開発紛争のほか、建築紛争やプラント関係の紛争、継続的契約の打ち切りといった取引関係の紛争を多く担当しました。訴訟案件の中で、特に尋問にやりがいを感じますが、毎回その難しさを実感させられます。尋問は、事前準備が大変で、反対尋問は特に難しいのですが、弁護士の力量によってかなりの差が出るように思い、準備をした分だけ確実に成果が得られるように感じます。

クライアントから感謝されたときにやりがいを感じる

やはり、訴訟案件では、勝訴したとき、クライアントから感謝されたときにやりがいを感じます。私が担当した案件の中でも、会社の元執行役員から退職慰労金の支払を請求された訴訟(最判平成19年11月16日裁判集民事226号317頁)は、最高裁の法廷に立ち、勝訴した案件ですので、印象深い案件の一つといえます。訴訟案件は長い期間続くので、その間案件を前に進めようと思い続けられる人、また、何か突破口はないかを粘り強く考えられる人が向いていると思います。

金融庁へ出向されましたが、出向中はどのような経験を積みましたか。

当時、資金決済法を専門にしていた弁護士は事務所内にいなかった

入所してから7年目に、資金決済に関する法律(資金決済法)の立法に関与するということで、金融庁への出向の話をもらいました。その当時、主任として担当していた訴訟案件が非常に面白く、また、徐々に自分一人に任されるような案件も増えてきて、最後まで自分の案件に携わりたいという思いもありました。一方、入所以来、留学や出向に行ったことがなかったので、事務所の外の環境に触れてみたいという気持ちもありました。先輩方の後押しもあって、新しいことをやってみたいと思うようになり、金融庁への出向を決意しました。

出向先では様々な業務を担当

私は、2008年から、金融庁総務企画局企画課調査室(その後、同課信用制度参事官室)に1年4か月間出向しました。出向した当時、金融審議会第二部会の下で開かれていた決済に関するワーキング・グループの最終段階で、私は、まず資金決済法の立案作業を担当し、その後、資金決済法の施行に向けて、政府令の策定作業のほか、監督局で担当するガイドライン策定や、資金移動業者の登録審査等に関与しました。出向先ではチャンスがあれば様々な業務を行いたいと希望していたので、金融庁では、犯罪による収益の移転防止に関する法律を担当したほか、民法(債権法)改正や会社法改正に関する審議会が発足すると、その準備や随行もしました。

国会議員への質問取り、国会でのメモだし、長官への説明レク等まで行った

出向先の部署には、たまたま私以外弁護士がいなかったこともあり、出向者かどうかに関係なく、多くの業務を担当させて頂きました。たとえば、国会議員への質問取りや答弁作り、金融庁長官や幹部への説明レク等も担当しました。初めての経験でしたが、上司やチームのメンバーの指導の下、当然立法過程にも深く関与し、全ての金融庁所管法令を確認・整理しつつ、法律案の原案を作成していきました。法律が成立した後も、法律よりも分量があり業界調整も大変な政府令の策定作業、ガイドラインの策定作業等を行いました。法律の立法作業に比べて担当者も少なく、業界調整も法制局対応も行って、とにかく大変でしたが、その分やりがいもありました。

金融庁への出向の経験は、その後の業務にどのようにつながっていきましたか。

立案担当者だったことを多くの方に認識してもらった

出向中は、業界調整の中で業界関係者とお会いして教えてもらう機会も多く、また、新法の普及に向けて関係業界向けのセミナーや研修会等も行ったため、業界の方と多くの接点を持つことができました。実際、私が立案担当者だったことを認識して頂いた方から、事務所に復帰した後にも仕事を依頼いただくことがありました。また、弁護士業務に戻ってからとりわけ資金決済の分野で実務上のアドバイスと研究を続けていくうちに、機会をいただいて金融審議会の専門委員として決済業務等の高度化に関するスタディ・グループやワーキング・グループでの審議に参加させてもらい、さらに仕事の場を広げることができました。このような経験から、今では、資金決済法に関係する業務が、私の主要な業務分野の一つとなっています。

既存の法律解釈に留まらない

また、私は、現在、一般社団法人FinTech協会理事として、FinTech業界全体に関する活動に取り組んでいます。また、金融分野で新しいサービスを提供しようとすることは、既存の法律解釈では解決できない問題も多く、自ら様々なところに足を運んで調整したり、関係各所に理解をしてもらうということにも必要性を感じ、積極的に活動しています。

最近ではFinTech(フィンテック)が注目されるようになりましたが、規制の一つである資金決済法をはじめ、今後この分野はどうなると思いますか。

FinTech(フィンテック)に関する仕事が増加

私が専門分野として扱ってきた資金決済(決済、送金や電子マネー)という分野がFinTech(フィンテック)の一分野として注目されるようになり、FinTech(フィンテック)という文脈から金融規制に関してアドバイスをする仕事が増えていったように思います。もともと、資金決済の分野は、一部の業界向けの規制と認識されていたように思いますが、広く事業者にとって決済、送金や電子マネーが一つの分野として認識されるようになり、最近では、ビットコイン等の仮想通貨を取り扱う仮想通貨交換業についても資金決済法の規制対象となりました。

新しいことに挑戦する事業者を手伝う

FinTech(フィンテック)の仕事では、新しいことに挑戦する事業者をお手伝いすることがありますが、その際にはスキームの策定から参加できるため、大変面白い仕事です。また、最近では、複数の業態が関与するケースも多いため、事務所内の様々な分野の弁護士と一緒に案件に取り組むことも多くなりました。新しい事業に関する仕事なので、会社やJV(ジョイント・ベンチャー)を設立したり、株主間契約等を検討することがあるほか、銀行法、金商法、独禁法、景表法、知的財産法等、様々な法律分野が関連します。

FinTech(フィンテック)について、どのような活動を行っていますか。

所外での一般社団法人FinTech協会の立ち上げ

以前、海外で販売した商品の代金を日本の販売主に送金するという個人事業向け決済サービスを行う事業者に対して、資金決済法上の登録手続をお手伝いした案件があります。その事業者の代表者の方を中心に、新しい発想で金融サービスを変えていきたいという同志が集まり、一般社団法人FinTech協会を立ち上げることになりました。その事業者の代表者の方は、もともと私のクライアントでしたが、案件内外の交流を通じて意気投合し、同協会の立ち上げにあたって、理事の一人として参加することになりました。

所内でのFinTech PGの立ち上げ

事務所内においては、2016年夏、FinTech PG(フィンテック・プラクティス・グループ)を立ち上げました。FinTech分野は業務範囲が広く、様々な種類の専門家を結集する必要があると考えたからです。最近では、FinTechのTechnology(技術)の部分について聞かれることもあり、ITや知的財産の専門の弁護士と共同で講演を行う等、その対象分野はますます広がっているように感じます。

ユーザーファーストのサービスが提供される世界

FinTechという言葉が世の中に普及する前から、資金決済法では新しい金融サービスが規制対象となっていましたが、モバイル端末の急速な普及等に合わせて、その一部がFinTechとして取り上げられるようになりました。今後、提供者側の理屈でサービスが提供されている世界から、ユーザーファーストの便利で革新的なサービス、かつ、安全性の高いサービスが普及するようになり、それが当たり前である世界が訪れて欲しいと考えています。

仕事と子育てとの両立は大変ですか。

子供を自分の手で育てたい

子育てと仕事を両立させることは大変ですが、夫婦で協力し合って、両立させています。私はできるだけ子供を自分の手で育てたいと思っているので、自分で保育園のお迎えに行って、仕事から帰った後は、まず子供と家で遊んだりお話をしたりしています。IT技術の発展のおかげで、自宅でも、事務所とほぼ同じような環境で執務できるため、忙しい時期は子供が寝た後に書面を書いたり、メールチェックをするなどして、家庭と仕事の時間をやりくりしながら仕事をしています。

子育て支援プロジェクト

事務所内の活動としては、女性が働きやすい職場にするため、子育て支援プロジェクトを進めています。事務所内の女性弁護士を見ますと、出産後、子供が1~2歳になる間に、短時間勤務から徐々に勤務時間を増やしていき、最終的にはフルタイムに戻っていく人が多いようですが、短時間勤務のままで働き続ける等、人それぞれで働き方は自由です。それぞれの要望に合わせて柔軟に対応できるよう、多様な勤務形態を用意するようにしています。子育てをしている女性にとっても働きやすい環境となっているか、3か月に一度皆さんから意見を聞き、常に制度を改善していきたいと思っています。

今後の目標は?

自分が受けてきた恩恵を若い世代に返したい

弁護士業務は、業務内容として面白く、多くの人に会える、多くの経験ができる仕事ですし、自分にも合っていると思うので、私は、このまま弁護士を続けていきたいと思っています。事務所に目を向けると、MHMは、面白い案件が集まってくる事務所であり、それぞれにチャンスをくれる事務所なので、若手弁護士を成長させるのに最適な場所だと思っています。事務所内の雰囲気も良く、個人が自由に活動でき、居心地のよさは抜群ですね。今後は、自分が受けてきた恩恵を若い世代に返していきたいと思っています。

弁護士になる人に一言お願いします。

自分の可能性を
広げられる職業

時代が変化していく中で、既存の枠組みの中で動くのではなく、知恵を絞って新規の分野を突破していく力が求められているように感じます。弁護士は、自分の可能性を広げられる職業であり、新しいことにチャレンジしていきたい人には向いている職業だと思います。また、特に女性は、ライフステージの様々な場面で、自分のキャリア・プランを見直す必要があります。弁護士資格があることで、法律事務所で執務をするだけではなく、留学、出向、企業など様々な機会に巡り合うことができ、ライフステージに応じて柔軟にキャリア・プランを見直すことができるので、より自分の可能性を広げることができるのではないでしょうか。