森・濱田松本法律事務所 RECRUITMENT

INTERVIEW

可能性を限定せず、
自分に素直に

青山 大樹 HIROKI AOYAMA

ファイナンス関連業務や不動産関連業務を基軸として、国内・国際契約交渉など、企業法務全般を幅広く取り扱っています。

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企業法務弁護士となり、現在の専門分野を取り扱うようになった経緯を教えてください。

大学教授からのヒント

実は私は、大学に入学した当時は国家公務員になりたいと思っていました。しかしその後思うところがあり他の職業も視野に入れて考え始めた頃、当時在籍していた法学部の教授から、企業法務という分野が存在することを教えられました。当時は弁護士といえばテレビドラマに出てくるいわゆる「街弁」のイメージ程度しかありませんでしたので、より深く企業法務の世界を知りたいと思い、その教授に「何か企業法務の内容が分かる書籍を紹介してほしい」とお願いしたところ、ストラクチャードファイナンスに関する入門書を紹介されました。その書籍を読んで何となく面白そうな世界だと思ったこともあって、企業法務弁護士を志すようになりました。

ローテーション制度での経験

私は、入所直後の時期は、ローテーション制度の下で、前半のローテーションではファイナンス業務を中心とし、後半はM&Aを中心的に取り扱いました。本格的なM&A案件にいくつも関与し、厳しい交渉の場面にも何度も立ち会いました。これらは今でも強く印象に残っています。最初の頃は、どんな案件をやっても自分で考えたポイントがズレていたりして四苦八苦しましたが、その分、その頃の記憶は鮮烈に残っているものですね。

当初から興味のあったファイナンスの分野へ

ローテーションが明けて自分の軸足となる分野を定める時期には、ローテーションで経験した業務がいずれも面白かっただけに、どちらの分野を志望するかかなり悩みました。結局、ストラクチャードファイナンスの書籍を読んでこの道に進んだ経緯も三つ子の魂のように作用して、ファイナンス分野を専門にしていくことになりました。学生時代から、組織法よりも取引法にダイナミックで動的な魅力を感じることが多く、今思えば、その頃からファイナンス業務への志向が現れていたのかも知れません。

現在の専門分野

現在は、バンキングやストラクチャードファイナンス(LBOファイナンス、プロジェクトファイナンス等)、不動産関連の案件などを中心に、幅広い案件に関与しています。

今までで印象に残った案件は何ですか。

戦力になれたという実感

様々な案件が印象に残っていますが、できるだけ初期の案件を思い出してみると、入所して半年ほどの時期に経験した、不良債権のバルクセールの案件のことが頭に浮かびます。当事務所は、不良債権の譲受人のアドバイザーとして不良債権のデューディリジェンスを行っていました。私は弁護士1年目でしたが、案件の全ての過程に関与し、連日必死に案件を回しました。とにかくがむしゃらにやったというだけですが、この案件でやっと自分が戦力になれたという実感を持つことができたことが、今でも印象に残っています。

ファイナンスに関する時代の変化は感じますか。

リーマンショックの影響

ファイナンスの業務分野はリーマンショックの影響で大きく変動しました。リーマンショック前はセキュリタイゼーション(証券化取引)やCMBS(商業不動産担保証券)などと呼ばれる取引が業務の中心でしたが、今では業務内容がより多様化してきています。

クロスボーダー案件の増加

また、自分が留学を経験したこともあって、クロスボーダー案件を取り扱う機会も増えています。海外投資家による日本不動産への投融資案件(インバウンド案件)は多いですね。同時に、昨今の国内の低金利環境の影響もあって、日本の金融機関による海外への投融資案件(アウトバウンド案件)も増えてきています。私自身のクロスボーダー案件の割合は3割から4割くらいで、インバウンド案件とアウトバウンド案件が半々くらいという印象です。

ファイナンス業務において弁護士はどのような役割を担っていますか。

知恵を出しあい、案件を作り上げていく

「ファイナンス案件はドキュメンテーション」というイメージを持たれている方は多く、実際にドキュメンテーションはファイナンス案件の重要な一部ではありますが、それだけではありません。フィージビリティスタディ、ストラクチャリングから始まり、デューディリジェンス、契約交渉など業務内容は多岐にわたっています。対面での交渉も全く珍しくありません。これらの過程で、各当事者とアドバイザーが知恵を出しあい、関係当事者と時には対立し時には共通の目的に向かいながら案件を作り上げていくのが、ファイナンス業務の醍醐味です。

ファイナンス業務を行う上でどのような価値観を大事にしていますか。

理屈と人情の両立

ファイナンス業務は、他の分野と比較した場合に、特に論理的に精緻であることが求められるという特徴を指摘されることがあります。これは一面で真実ですが、そうであるからといって理屈だけの頭でっかちな弁護士ではクライアントの力になることはできません。金融業務はお金や数字といった無機質なものを取り扱っているような印象を持たれるかも知れませんが、その数字と取っ組み合い、腕を組んでうなっているのはクライアント担当者という人間です。同じように相手方もアドバイザーと共に悩み、考えを巡らしながら案件に臨んでいます。その中にあって、ファイナンス・ロイヤーは関係者の思いを汲み取って案件の筋道を作っていかなければなりません。そう考えると、論理的思考力はよいファイナンス・ロイヤーの必要条件ではあっても十分条件ではなく、人の思いを感じ取り、それに寄り添っていけるという人情面が伴って初めていいファイナンス・ロイヤーになれるのだと思います。

個別案件以外の経験で印象的なものを教えて下さい。

シンジケートローンのひな型作成などに関与

クライアントの個別案件以外にも、ファイナンス業務全体に影響を与えるようなプロジェクトに関与してきました。たとえば、JSLA(日本ローン債権市場協会)という団体では、シンジケートローンの標準契約書を作成し公表しているのですが、これはシンジケートローン分野への影響力が大きく、まさしく実務を作る仕事といってもいいようなものです。私はこの標準契約書作成プロジェクトに関与しましたが、多数の金融機関の意見を聞きながら、検討に検討を重ねて一つの契約書を作り上げるよい経験になりました。

東京大学法学部非常勤講師として民法を担当

また、2011年から2013年まで、東京大学法学部において非常勤講師として民法を学部生に教えました。東京大学の教授の先生方とも定期的に接点を持つことができ、学生からも新鮮なフィードバックが得られて、とてもいい経験でした。かなり先のことになるとは思いますが、またいつか機会があれば法学教育の場に立ってみたいという気持ちも持っています。

留学・海外事務所で得たものや、経験を教えてください。

ロースクールへの留学

アメリカのロースクールでは、LL.M.生を対象としたInternational Finance Concentrationという専門コースを履修し、毎週のゼミで世界各国のファイナンス関係者と議論をする機会を得ることができました。また、米国契約法に関心があったことと、米国の法律家がどのような法学教育を受けているのか知りたいという気持ちから、LL.M.生としては比較的珍しく、現地のロースクール1年生が履修するContract(契約法)の授業も履修しました。伝統的なソクラティックメソッドによる授業で、言語の面で大変な思いもしましたが、今では懐かい思い出です。

ニューヨークの法律事務所での研修

ロースクール修了後、ニューヨークにある法律事務所で1年間研修を行いました。初めはMHMとの環境の違いに目が行きましたが、研修が終了する頃に感じたのは、ニューヨークのトップファームでやっていることと、東京のMHMでやってきた仕事は、本質的な点では同じであるということでした。たとえば、契約交渉に際してドラフトを検討するときの視角や、デューディリジェンスで着目するポイント、クライアントコミュニケーションの作法などは、研修終了時点で振り返ってみれば、東京での経験と大部分が共通していることに気付きました。そうであれば、これから東京に帰って更に経験を積むことは、世界水準のロイヤリングを身につけていくプロセスを継続することに他ならないのだと思い、心強く思うと同時に、身の引き締まる思いがしたことを思い出します。
研修中には、中南米の会社を対象とするM&Aや、アフリカのプロジェクトを対象とするプロジェクトファイナンス案件など、国際色豊かな案件に関与する機会に恵まれました。

今後ファイナンス・ロイヤーに求められる能力は何ですか。

スペシャリティとジェネラリティ

企業法務弁護士の数が増加し、当然ファイナンス・ロイヤーも増えていますので、ただファイナンス業務ができるというだけでは、専門性として十分ではありません。これからは、ファイナンスの中でも特にこの分野に強いというスペシャリティを持つことが益々求められてくると思います。他方で、一つの狭い専門分野に閉じこもって他分野のカバレッジを失うのも考え物です。特に、金融市場環境がめまぐるしく変化し、国内外の金融機関が絶えず新しい取引機会を求めている現状では、新規性の高い取引の仕組みにチャレンジする局面も増加してくることが予想されます。そのような新規案件に取り組むときには、隣接分野の実務からのアナロジーを活用できる知見や、ファイナンス・ロイヤーとしての一般的なバランス感覚、常識感といったものが物を言うことになると思います。そうしたファイナンス・ロイヤーとしてのジェネラリティも同時に持ち合わせた弁護士になりたいものだと思います。求められる水準は高いですが、この仕事を引退する日まで精進を続けるしかありませんね。

一面で高い共通性、一面で強い個性

MHMの弁護士は、一面で極めて高い共通性を有し、一面で強い個性を持っていると思います。全ての弁護士が、「いい仕事をする」、「クライアントにベストなサービスを提供する」というコアの価値観を強く共有しており、その点をゆるがせにしないという信念の強さには特筆すべきものがあると感じています。他方で、その理念に向かって、自分なりにどういうスタイルを構築するのか、職業人としてどういう人間であろうとするのかについては、弁護士それぞれの個性と多様性を尊重する気風を持ち合わせているように思います。まして、弁護士の性格やキャラクターに関しては、ほとんど統一感はないといってよいのではないでしょうか。ときどき、MHMには口数が多く押し出しが強い人が多いなどという俗説を聞くことがありますが、それは外れだと思います。実態としてもそうですし、考え方としても、普段口数が多かろうが少なかろうが、クライアントに信頼される人間力が根底にあれば、それでよいのではないでしょうかね。つまり、本質的なことには徹底してこだわり、非本質的なことにはこだわらないというメリハリと、本質と非本質との境目を的確に見分けるセンスは、大事にしたいと思っています。それが、私自身が十数年前にMHMに魅力を感じて入所した理由の一つでもありますので。

どんな人と一緒に働きたいですか。

知的体力と責任感

逃げずに考え抜く知的体力と責任感がある人、自分の頭で考え自分の言葉で話す力がある人、人から好かれ信頼される人と一緒に働きたいと思っています。

企業法務弁護士を目指す人にひと言お願いします。

可能性を限定せず、
自分に素直に

企業法務に関心を持っている学生さんとお話しすると、よく、業務分野毎に求められる資質の違いについて質問されることがあります。例えば、ファイナンス業務には緻密な性格の持ち主が向くのでしょうか、という質問です。確かにこのような説明を聞くこともあると思いますが、私は、それはステレオタイプに過ぎず、本当は業務分野によって求められる資質に根本的な違いはないと思っています。緻密さも、機転も、度胸も、弁護士の仕事をする以上はどの業務分野でも共通して必要になる資質です。自分はこれらを全て備えていると自信を持てる学生さんは少ないでしょうし、それは弁護士になってからも同じですが、どうせそうであれば、あまり外から聞こえてくるステレオタイプに引きずられずに、自分は何をしたくて弁護士になるのか、自分はどういうニュースにわくわくするのかという内なる声に耳を傾けて、将来像に思いをはせてもらえたらと思います。