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中尾 匡利 弁護士(2014年登録)

私は2015年1月にMHMに入所し、紛争解決、支配権争い、コーポレート・ガバナンスなどの業務を中心に6年半執務した後、2021年7月からカリフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)のロースクールに留学しています。もともと国内の業務が中心ではあったのですが、留学をきっかけに英語力を向上し、業務の幅を広げたいと考え、他の法律事務所に所属する妻とともに子供2人を連れて留学することにしました。
この原稿を書いている時期(2021年12月)は、ちょうど秋学期の試験・レポート提出が終わり、冬休みが始まったところですので、この秋学期を振り返りながら留学生活の一部をご紹介します。

UCバークレーへの留学

LLMプログラムのカリキュラム

通常、アメリカの学生は約3年間のJDプログラムに参加するのですが、他国での法学部・法科大学院の学位取得者や法曹の有資格者などは、約1年間のLLMプログラムに参加するのが一般的です。UCバークレーのLLMプログラム(Traditional Track)は、秋学期(8月~12月)・春学期(1月~5月)の2学期制で、例年、50か国以上から200人程度の学生が参加しています。
LLMプログラムの必修科目は、2科目のみです。1つ目のFundamentals of U.S. Lawという科目では、アメリカの法制度・統治機構の概要、コモンローの判例分析、主要な憲法判例について学びます。2つ目のLegal Research and Writingという科目では、アメリカの判例・文献のリサーチ方法やアメリカでの法律文書のスタイルを学びつつ、架空の事例に関して15~20頁のリーガル・メモを作成していきます。また、カリキュラムには、グループ・ディスカッションやディベートだけでなく、各学生が自国のリーガル・トピックについてプレゼンテーションを行う課題なども組み込まれており、充実した内容になっています。
必修科目以外については、各自の興味・関心に合わせて履修科目を選択することができ、私は自分の業務分野に関連する科目を2つ選択しました。1つ目は、主にアメリカの会社法に焦点を当てたBusiness Associationsという科目ですが、実務で頻繁に参照する日本の会社法と比較しながら理解を深めるように努めました。2つ目は、Business in Societyという科目で、最新の学術論文や企業のケーススタディ、総勢15名程度の実務家とのディスカッションなどを通じて、ステークホルダー資本主義、ユニバーサル・オーナー、シェアホルダー・アクティビズム、コーポレート・カルチャー、ESG関連トピックなどについて学びます。まだ日本の実務では浸透していない先端的な分野についても多く触れることができ、非常に有意義でした。

コロナ禍での授業・イベント

新型コロナウイルスの影響によって、UCバークレーのロースクールでは2020年春学期から全ての授業をオンラインで実施していましたが、2021年秋学期からは対面授業が再開しました。もっとも、体調面で不安がある学生などのために、多くの授業は録画され、オンラインで視聴することもできる体制になっています。
授業スタイルとしては、一般的に、レクチャーとディスカッションの組み合わせで構成されていますが、傾向としては、大人数の授業ではレクチャーの割合が多く、少人数の授業ではディスカッションの割合が多くなるというイメージです。留学前の私は、仕事でも日常でもほとんど英語を使うことがなかったので、授業を全て英語で聞き取るということだけでも苦労し、なかなか上手く発言することもできませんでしたが、親切でフレンドリーな教授が多く、積極的に発言する海外の学生に囲まれた環境で授業を受けることは、とても良い刺激になっています。また、教授が学生からの質問・相談等に応じるオフィス・アワーも充実しており、授業で理解できなかったところはオフィス・アワーを活用して教授に質問するなどして、フォローするように努めています。
2021年秋学期からは、大学主催のイベント(LLM生との交流会、JD生との交流会、他学部生との交流会、ハロウィン・パーティーなど)も徐々に再開され、その他にも学生が独自に様々なイベント(BBQ、スポーツ観戦、旅行、飲み会など)を企画するなど、年齢・国籍を問わず積極的に交流する機会が多数あり、友達の輪を拡げることができます。様々なバックグラウンドを持つ海外の学生と交流することで、新たな視点を得られるだけでなく、改めて日本の文化や慣習について深く考えさせられることも多く、とても貴重な経験になっています。

ベイエリアでの家族生活

西海岸・ベイエリアでの留学ということで、出発までは、燦燦と降り注ぐ太陽と青い空、美しい海と自然に囲まれた常夏のリゾート地のようなイメージを勝手に抱いていましたが、渡米した7月時点でも、バークレーの朝晩は半袖だと寒くて驚きました。逆に12月になっても日中の晴れている時間帯などは薄着で出歩く人もいたりするなど、年間を通じて気温が比較的安定しています。また、東京の夏の暑さと比べると、ほとんど雨が降ることがなく、湿気が少ないため、多少気温が高くても快適に過ごせています。
やや物価が高いのが難点ですが、日本食のスーパーやレストランも豊富で、全体的に見れば、日本人にとっては過ごしやすい街だと思います。また、近所に公園や自然がたくさんあり、子供にも優しい街なので、家族での生活にも適しています。
私の秋学期の生活としては、履修は4科目のみで、授業は週7コマだけでしたが、予習や課題の量が非常に多く、日々、子育てと授業の予習・課題に追われ、想像以上に慌ただしかったという印象です。そうはいっても、週末や祝日を利用して、家族でバークレー周辺の公園、遊園地や動物園に行ったり、車で20~30分程度の距離にあるサンフランシスコに観光やMLB観戦に行ったり、レイクタホやナパ・ソノマに旅行に行くなどして、ベイエリアでの家族生活を楽しめています。また、私自身も海外で暮らすのは初めてですが、子供たちも幼い時期に海外で生活するという非常に貴重な経験ができており、このような家族での留学という環境にとても感謝しています。

今後について

私は、まだLLMプログラムを半分終えた段階ですが、残りの留学生活も楽しみつつ、より充実させられるように全力で取り組みたいと思います。卒業後は、実務的な側面からアメリカの法制度の理解を深めるため、ロサンゼルスの法律事務所で約1年間の研修を行う予定です。帰国後は、留学・研修で得た知識・経験を活かして、より一層充実したリーガル・サービスを提供していきたいと考えています。

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